第1章 暮らしを支えてきた自然 ~自然と環境~
『図説 廿日市の歴史』
第1章 暮らしを支えてきた自然
~自然と環境~
写真は極楽寺山山頂付近
「概説」
人は自然に育まれ、そしてまた、
人は暮らしのために自然をつくりかえる。
西洋では人と自然は対立したものと
見なされて来たが、
日本のように温和な自然環境に
恵まれた国では、
人も自然のひとつのものという
考え方が支配的であった。
廿日市市は、日本列島の中でも
とりわけ温和な自然環境である。
厳しい寒さや大雪もなく、強い風も吹かず、
大きな地震もなかった。
昔は、大水や日照りに悩まされたことも
あったが、治水や灌漑が行き届いた現在では、
ほんとうに恵まれた環境といえる。
廿日市市は広島湾の西側にあって、
中国地方を西部の高原状に広がる
山地の東の端に位置している。
東西約9km、南北に約11kmで、
面積は約45.7平方kmである。
一番高い山は野貝原山(733m)で、
海抜500m以上の地域は
市の面積の12%に達している。
地質はすべて花崗岩(御影石)で、
いわゆるマサ土のところが多い。
大きな川がなく、可愛川と御手洗川の下流に
小さな平野が形成されている。
海岸のほとんどは人工的な護岸で、
地御前神社の前にわずかに砂浜が残されている。
年平均気温は、廿日市市役所の位置で15.5度、
年降水量は1698ミリ、
降雪は沿岸部では
10センチを超えることはまれである。
市指定の天然記念物は
「ハゼ・キヅタ」(地御前賽の神)
「ソテツ」(天神、蓮教寺)
「イチョウ」(地御前小学校)
「シャクナゲ群生地」(宮内)
「天王社境内巨樹群」(宮内)
「河内神社境内巨樹群」(後畑)
「極楽寺山氷河礫層」(原)
の7件で、
国や県指定のものはない。
月の二十日に市がたつという
14世紀以来の由緒ある地名をもつ
廿日市市は、
山陽地方の中規模の都市として
平均的な存在といえよう。
ハゼ・キヅタ
写真提供:二十日市市教育委員会
写真提供:二十日市市教育委員会
野貝原山
厳島から二十日市市を望む